平成30年2月26日
会員 各位


一般社団法人 日本病院薬剤師会
学術委員会委員長 大森 栄
学術第1小委員会委員長 武藤 浩司



多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集の公開について



 日本病院薬剤師会学術第1小委員会は「ポリファーマシー対策にかかる薬剤師の関与ならびに有用性に関する調査・研究」をテーマに平成27年度に編成され、これらの調査・研究を3年計画で行って参りました。その中で「多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の業務実態調査」の一つの活動として外来または入院患者の多剤投薬の患者を対象とした「多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例」の集積活動を行い、48施設から103事例の対応事例をご報告頂きました。
 その後、学術第1小委員会において本事例内容を精査・厳選し、1)薬物有害事象の回避、2)処方の煩雑さの軽減、3)アドヒアランスの改善、4)漫然投与に対する対応、5)生活やADLなどの患者状況に応じた対応等に分類し、会員皆様と多剤投薬の患者に対する対応について情報共有することを目的に対応事例を公開することにいたしました。本事例を通じて、多剤投薬の患者に対する薬物有害事象の回避や多職種連携を通じた服薬計画の策定など、会員皆様の業務の参考になれば幸いです。
 末筆ではございますが、今回の対応事例にご協力頂きました施設の皆様および第1小委員会の活動にご協力を頂きました皆様に心より深謝申し上げます。



◎多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集の公開にあたって

公開にあたり、下記の点についてご理解いただけますようお願いいたします。
  1. 用語は出来るだけ統一しましたが、医薬品添付文書(以下、添付文書)とは異なる場合もあります。
  2. 略語は一般的に使用されていると判断したものに限りそのまま掲載しています。
  3. 一部添付文書とは異なる用法や単位が記載されていますが、事例内容を優先して掲載しています。
  4. 一部適応外使用されている処方内容が含まれていますが、学術第1小委員会として適応外使用を推奨しているわけではなく、事例内容を優先して掲載しています。
  5. 一部の症例に関しては、一般名(正式名称)と異なる記載がありますが、実際に処方されている薬と結びつく記載に関してはそのままとしている事例があります。
  6. 各事例における言い回しや対応、各種検査における単位等に関しては、報告施設の表記を基にして作成しております。従って、事例ごとに表記が異なる点があることをご了承ください。
  7. 内服薬の種類に関しては、不眠時などの頓服薬や湿布、吸入剤などの外用薬、インスリンなどの注射薬に関しては数としてカウントしておりません。
  8. 対応事例集は協力施設から報告して頂いた内容を厳選して公開しておりますが、その事例の評価については、学術第1小委員会における判断です。
  9. 事例集の作成にあたっては患者情報ならびに調査協力施設等の個人情報に配慮し作業いたしました。
  10. 掲載させていただいた事例は、あくまでも各施設における実践例に関して紹介するものです。それぞれの症例に関して、最適な処方提案や関わり方などを保証するものではありません。各施設の採用医薬品等の状況によって代替薬提案が行われている事例があることに関して、ご理解いただけますようお願いいたします。
  11. 医薬品の有害事象等において医薬品安全性情報報告書として報告されているか否かについては、学術第1小委員会では把握しておりません。個々の報告に関する製薬企業等からのお問い合わせにはお答えしていません。
  12. 本報告を無断でダウンロードや複写し、営利を目的とした転用は固く禁じます。




◎対応事例集:個別ダウンロード(PDF)

薬物有害事象の回避
No
入・外
主な診療科
年齢
内服数
服薬回数
タイトル
PDF
介入前
介入後
介入前
介入後
1
入院
循環器内科
80歳代
7
1
3
1
処方カスケードの典型事例
2
外来
内科
90歳代
12
8
2
1
糖尿病合併の心房細動患者における薬物有害事象に対する外来での対応事例
3
入院
整形外科
80歳代
14
11
5
5
糖尿病治療薬多剤服用による薬物有害事象回避への対応事例
4
入院
外科
90歳代
7
4
2
2
H2受容体拮抗薬による処方カスケードに介入して減薬に寄与した一例
5
入院
外科
90歳代
7
5
3
4
投薬の必要性の再確認と有害事象発現リスクを考慮した処方提案事例
6
入院
精神科
80歳代
16
5
4
4
向精神薬多剤処方による薬剤性せん妄と処方カスケード
7
入院
呼吸器内科
80歳代
10
8
4
3
多剤併用による腎機能低下が疑われた1例
8
入院
循環器内科
60歳代
13
11
3
3
複数施設からの多剤投薬による薬物相互作用と有害事象への対応事例
9
入院
内科
80歳代
21
11
5
3
複数医療機関からの重複投与に対する薬剤整理
10
入院
内科
70歳代
6
4
2
5
インスリンから内服薬に切り替えることで血糖コントロールが良好となった1例
11
入院
内科
80歳代
10
3
3
2
有害事象の発見を機に処方内容を再考し減薬に繋がった一例
処方の煩雑さの軽減
12
入院
整形外科
80歳代
18
7
5
4
アドヒアランス状況から投薬の必要性を考慮し減薬に繋がった事例
13
入院
内科
90歳代
18
4
7
3
入院契機に14種類の減薬・処方薬見直しに対応した事例
14
入院
内科
90歳代
7
4
6
2
脳梗塞後、薬剤の有害事象により食欲低下をきたした症例
15
入院
内科
60歳代
15
8
7
4
腎機能低下患者への多剤投与回避事例
16
入院
循環器内科
70歳代
6
5
4
2
退院時合同カンファレンスを通して服薬時点の確認による用法変更提案
アドヒアランスの改善
17
入院
糖尿病内科
70歳代
12
4
4
2
服薬数の削減により薬識の向上とアドヒアランスの改善を認めた事例
18
入院
消化器外科
70歳代
13
7
4
3
服薬アドヒアランス不良患者における薬剤再評価
19
外来
循環器内科
70歳代
9
5
4
3
心因性薬剤内服拒否のある慢性心不全急性増悪患者への対応
20
入院
内科
90歳代
11
8
3
3
入院患者への薬学的介入による処方適正化
21
入院
整形外科
80歳代
15
8
4
4
処方意図が不明な多剤投薬と薬識不足によるアドヒアランス不良患者への対応
漫然投与に対する対応
22
入院
内科
70歳代
10
6
2
2
漫然投与に対する減薬アプローチ
23
入院
内科
80歳代
12
6
4
3
症状消失後の漫然投与に対する処方提案事例
24
入院
精神科
80歳代
6
5
2
3
抗コリン系抗パーキンソン薬の漫然投与と副作用に対する対応
25
入院
耳鼻咽喉科
70歳代
10
6
7
5
漫然投与を回避し、退院後も薬剤師外来で継続介入を行っている症例
26
入院
神経内科
80歳代
30
23
10
9
30種類の薬剤服用からの見直し
27
入院
神経内科
70歳代
15
9
4
3
NSTと連携した多剤投薬による食思不振への対応・薬剤調整症例
28
入院
内科
80歳代
13
5
6
2
地域包括ケア病床での薬剤師による対応事例
29
入院
内科
90歳代
13
4
3
2
漫然投与の可能性があり、臨床症状に留意し調整した症例
30
入院
循環器内科
70歳代
17
12
4
7
多剤長期内服薬剤の再評価による減薬
生活やADLなどの患者状況に応じた対応
31
入院
外科
90歳代
10
6
3
3
服薬時の問題点から処方内容の見直しを行った事例
32
入院
内科
80歳代
8
2
3
1
内服薬中止後の全身状態評価により服薬再開の必要性を検討した事例
33
入院
内科
80歳代
13
5
4
2
がん終末期患者における漫然投与に対して必要性を考慮し減薬を提案した事例


◎掲載施設一覧(50音順)

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院
医療法人社団 悠仁会 後藤病院
医療法人社団 更生会 草津病院
医療法人社団 兼誠会 杉安病院
医療法人社団 吉美会 吉備高原ルミエール病院
医療法人社団 愛友会 上尾中央総合病院
医療法人財団 明理会 春日部中央総合病院
医療法人紅萌会 福山記念病院
医療法人 富田浜病院
医療法人 知命堂病院
医療法人 三重ハートセンター
医療法人 八木厚生会 八木病院
香川大学医学部附属病院
国家公務員共済組合連合会 KKR高松病院
社会医療法人 陽明会 御所病院
社会福祉法人 桜ヶ丘社会事業協会 桜ヶ丘記念病院
社会福祉法人恩賜財団済生会支部 埼玉県 済生会栗橋病院
上越地域医療センター病院
宝塚市立病院
地域医療機能推進機構 九州病院
名古屋市立大学病院
日本赤十字社柏原赤十字病院
横浜市立大学附属病院
米沢市立病院
洛和会丸太町病院





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