平成20年3月4日
会員各位
社団法人 日本病院薬剤師会
薬剤業務委員会 委員長 佐藤秀昭


病院薬剤師のための業務チェックリスト改訂版
医薬品の安全使用と医療の質の向上に向けて



「病院薬剤師のための業務チェックリスト」の改訂版にあたり
病院薬剤師の主な業務は,一般病院,精神科病院,特定機能病院など病院の種別および病床数にかかわらず,①責任ある医薬品管理,②患者情報に基づいた処方せんの解析評価,③適正な処方せんによる正確な調剤と交付,④臨床検査値,副作用の初期症状,患者さんの訴えなど患者情報の解析評価とその対応,⑤重篤な副作用などを未然に防止するための情報活動と考えます。本委員会は,病院薬剤師の業務内容と業務の質を踏まえて,どのような業務項目が妥当であるか,薬剤師の裁量権の範囲なども考慮し,2003年9月に「病院薬剤師のための業務チェックリスト」を発表し,3年半が経過しました。
 近年,各医療機関は医療の質の向上と安全の確保を重要課題として位置づけ,薬剤師の積極的なかかわりを求めています。特に,2007年4月の医療法改正で,医薬品の安全管理体制を確保するために,医薬品について高い専門性(十分な知識を有する)を有する「医薬品安全管理責任者」の配置も定められました。このような現況を踏まえ,業務チェックリストの改訂に取り組み,詳細な業務項目を策定しました。
 改訂した主な箇所は,①業務項目の羅列から,第1〜3章に分類し業務手順に基づいた業務項目に改訂,②施設での医薬品の安全使用のための業務項目の追加,③医薬品安全管理責任者の主な業務項目を第3章に追加しました。ただし,病棟,手術部門,ICU部門,外来部門,救急部門,放射線部門,検査部門,歯科部門などで使用する定数配置薬については,種類および数量は異なるが,その供給管理,在庫管理,使用管理などの業務内容は原則同じと考え,1つにまとめました。さらに,使用時に注意が必要な医薬品については,「使用時の注意事項」などの一覧表を必要な部門に掲示するなどの工夫で対応すればよいと判断し,業務項目から省きました。
業務チェックリストは,各薬剤部(科)の業務目標に照らして到達度を確認する絶対評価のための資料として策定しました。すなわち,それぞれ薬剤部(科)において業務の現状を把握し,新たな業務に取りかかるための指針とし,かつ,質の高い業務の標準化に貢献できればと考えています。今,この一つひとつの項目について「実施しているのか,実施していないのか」ではなく,業務の質の向上に資すための資料として活用していただきたい。なお,各施設でこの改訂版(第2章)を参考に「医薬品の安全使用のための業務に関する手順書」を策定する際は,今,実施可能で医薬品の安全管理体制の確保に必要な最小限の業務項目を選択し,さらに,各施設で必要な業務項目を追加した業務手順書の策定が重要と考えます。
 これからは,医師,看護師などと緊密な連携を図り,その役割を果たすことが重要です。そのためには「質の高い業務の標準化」が不可欠です。本チェック項目についてご意見やご要望をお寄せ下さるようお願い申し上げます。

病院薬剤師のための業務チェックリスト改訂版(Word)

病院薬剤師のための業務チェックリスト改訂版(PDF)