日病薬発第2025-230号
令和8年3月31日
令和8年3月31日
会員各位
一般社団法人 日本病院薬剤師会
会長 武田 泰生
医療DX対応検討特別委員会
委員長 舟越 亮寛
会長 武田 泰生
医療DX対応検討特別委員会
委員長 舟越 亮寛
日本病院薬剤師会 生成AI利活用ガイダンス
(2026年2月18日版)の公表について
平素より、日本病院薬剤師会の活動にご高配をいただきまして御礼申し上げます。
この度、日本病院薬剤師会では、このたび「病院薬剤師向け生成AI利活用ガイダンス(2026年2月18日版)」を策定し、発出いたしました。近年、生成AI技術は急速な進展を遂げており、文書作成、情報整理、教育支援等をはじめとする多様な業務において、医療現場の効率化と質の向上に寄与することが期待されています。一方で、正確性の担保、個人情報保護、著作権への配慮、関連法令の遵守など、医療分野特有のリスクへの対応が不可欠であり、特に病院薬剤師業務においては慎重かつ適切な運用が求められます。
本ガイダンスは、こうした背景を踏まえ、病院薬剤師が生成AIを安全かつ有効に活用するための基本的な考え方、注意点、組織として講じるべき対策、ならびに具体的な活用事例を整理したものです。生成AIを「判断を代替するもの」ではなく、「判断を支援するツール」と位置づけ、病院薬剤師による最終確認と責任を一貫して重視しています。
なお、P6の「対象外とする利用」ですが、これらの利用を一律に否定・禁止するものではなく、「本ガイダンスで安全性・統制・責任を担保できる範囲外」であるため対象外と整理しております。
| 対象外とした理由として「患者個人に対する診断や最適な薬物療法に関する意思決定」は、診断や薬物療法の最適化は、医師法・薬剤師法・薬機法等に基づき、医療従事者の専門的判断と責任のもとで行われるべき行為です。生成AIは誤情報(ハルシネーション)を含む可能性があり、個別患者への直接的な意思決定に用いることは患者安全上のリスクが極めて高いです。本ガイダンスでは、AIを「判断を代替するもの」ではなく「判断を支援する参考ツール」と位置づけているため、最終判断行為そのものは対象外としました。 「創薬支援や基礎薬学など研究開発目的での利用」は、創薬・基礎研究は、臨床業務とは異なる研究倫理審査、知的財産、研究不正防止等の高度な管理体制が必要で、生成AIの研究利用については、別途研究機関・研究分野ごとのガイドラインや契約条件が存在します。 「研究の立案・データ収集・学会発表・論文投稿などの学術活動」は、研究計画立案や論文作成におけるAI利用は、捏造・改ざん・盗用、著者責任、AI関与の開示など、学術的に慎重な扱いが求めらます。学会・学術誌ごとにAI利用に関する独自ルールが存在し、統一的な運用が困難です。「薬剤師の自宅や患者居宅など医療機関外での生成AIを用いたサービス提供や業務利用」は、医療機関外では、ネットワークセキュリティ、端末管理、ログ管理等の統制が不十分になりやすく、組織として承認・監査できない環境での利用は、個人情報漏えいや不適切利用のリスクが高いため、本ガイダンスは「医療機関として管理可能な環境下での利用」を前提としているため対象外としました。「薬剤師個人の自己研鑚や資格取得に関する利用」は、自己研鑚や資格取得は原則として個人の裁量と責任に委ねられる領域であり、医療機関・学会として一律のルールを課すことは適切でなく、私的利用との線引きが困難です。本ガイダンスでは「組織業務としての利用」に限定し、個人学習用途は対象外としました。 |
会員各位および医療機関におかれましては、本ガイダンスの趣旨をご理解のうえ、日常業務や教育・研修、組織内ルール整備の参考としてご活用いただき、患者安全の確保と薬剤師業務の質向上に資する適切な生成AI活用を推進していただきますようお願い申し上げます。
日本病院薬剤師会 生成AI利活用ガイダンス(2026年2月18日版)