日本病院薬剤師会は、6年制薬学部を卒業した医療機関で働く薬剤師に見合った給与を要望してきたが、これに関連して衆議院厚生労働委員会で下記のような質疑応答がありました。今後、日病薬としては、引き続き6年制卒薬剤師の処遇の改善を求め、引き続き強く働きかけて参ります。
『局長が衆院で答弁「薬剤師俸給表、新設は困難」』
国家公務員給与における薬剤師の取り扱いについて、人事院の尾西雅博給与局長は3日、「独立した俸給表の新設は困難」との認識を示した。俸給表は一定規模の人数が役職に応じて在職する職種を対象に設定するもので、薬剤師の場合、国立大学の法人化や国立病院の独法化で130人程度まで減っているため、単独区分での対応は難しいという。ただ、来春に誕生する6年制卒の初任給水準については、処遇改善を求める厚生労働省の意見も踏まえて検討している現状を説明した。衆院厚生労働委員会で樋口俊一議員(民主)の質問に答えた。
現行の俸給表では、医師や看護師は単独の区分が設けられているが、薬剤師は他の職種と共に「医療職二」に一括されている。日本薬剤師会は「そもそも薬剤師の俸給表として制定された区分が、必ずしも4年制大学の卒業を条件としない医療技術職に適用されている」として、薬学教育の6年制への移行を機会に、別立てでの評価を求めている。
この日の委員会では、樋口議員が「(6年制課程は)濃密な時間、実践的な内容のカリキュラムが組まれているが、俸給表は全くこの点を検討していない」と指摘。薬剤師の初任給が他の医療職に比べて低いことも問題視した。
これに対し尾西局長は、区分の新設を否定した上で、医療職二における薬剤師の格づけについては、「就学年数の2年間の延長をどう評価するかが問題になるが、その前提として、看護師を含む他の医療関係職種とのバランスをどう考えるかについて、医療行政全般を担当している厚労省の意見を聴きながら検討している」と述べた。
一方、細川律夫厚労相は、「薬剤師の専門性に見合った、しっかりした処遇をしていただかなければならない。今の俸給表では、あまりにも公平でない。薬剤師の専門性をきちっと評価してないと強く思っている」と強調した。 さらに、6年制卒薬剤師の給与改善に関する要望書を、人事院へ提出したことを示した上で、「引き続き、能力に見合った適切な処遇を受けることができるよう、人事院に強く要請していきたい」と語った。
薬事日報 第11016号2011(平成23)年8月8日2面より引用転載
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