さて、公衆衛生分野で史上初の世界条約「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」が発効(2005年2月)され、禁煙治療が保険適用(2006年4月)となるなど昨今の喫煙に関する社会情勢は大きく変化しています。すでに American Society of Health-System Pharmacy(ASHP)や International Pharmaceutical Federation(FIP)は禁煙を推進する声明を表明し、禁煙支援に積極的に取り組んでいます。当会は国民の健康を守る医療専門職として、以下のように禁煙推進宣言を行うことといたしました。本主旨をご理解のうえ、日々の業務に取り組まれますようお願い申し上げます。
禁煙推進宣言
喫煙は、がん、心臓病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、歯周疾患など多くの疾患の発症、悪化に関与し、低出生体重児、流・早産など妊娠に関連した異常の危険因子でもある。さらに、喫煙者本人のみならず非喫煙者に対しても受動喫煙により健康被害をもたらす。わが国は、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」を批准しており、喫煙が及ぼす健康への悪影響から現在および将来の世代を守る義務がある。私たち薬剤師は、禁煙治療における薬物療法や行動療法において、自らの職能を十分に発揮し健康増進に寄与することができる。
日本病院薬剤師会は、喫煙対策および禁煙支援を推進することが医療人としての責務であると認識し、国民の健康を守るために、ここに禁煙推進宣言を行う。
- 薬剤師の禁煙を推進する。
- 喫煙の健康に及ぼす悪影響について、正しい知識を国民に普及啓発する。
- 受動喫煙による健康被害から非喫煙者を守る。
- 禁煙希望者に対する禁煙の助言と支援をより一層充実させる。
- 保健医療専門職として禁煙推進活動に積極的に参加し、主導的に行動する。
- 病院・診療所における禁煙を推進する。
- 薬学生に対して喫煙と健康及び禁煙支援についての教育を行う。