会長 武田 泰生
この度,第65回通常総会において,代議員の皆様にご承認をいただき,木平健治前会長の後を受け,第16代日本病院薬剤師会会長に就任致しました武田泰生でございます。微力ながら,会員の皆様のご期待に応えられるよう全力でその重責を果たし,日本病院薬剤師会(以下,日病薬)の発展に尽くす所存でございます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
日本の医療は今,大きく変わろうとしています。近年の少子高齢化に伴う様々な問題に対応すべく,現在,社会保障・税一体改革が急ピッチで進められております。そのなかでも医療・介護の分野では,病院機能の分化と連携,地域包括ケアにおける薬局の将来ビジョンなどの改革が進んでいます。このような地域医療構想において,我々病院薬剤師にはさらなる病棟薬剤業務の充実に加えて,タスクシフト・シェアへの対応,外来診療や周術期医療への参画,そして,より充実した薬物治療管理を実践するための,地域医療連携の要としての役割など,多くを期待されているところです。これらの期待に応えるには,薬剤師業務の拡大とそれをしっかりと実践する資質の向上が必要です。働き方改革が求められるなか,特に,医師の負担軽減策として導入されたタスクシフト・シェアを積極的に取り入れることは,病院薬剤師の職能の拡大と資質の向上へつながり,多職種協働による医療の質の向上に貢献することが期待されます。一方,患者は,外来通院や在宅診療から,病状に応じて急性期病院等へ入院され,そして回復期・慢性期を経て,再び外来や在宅診療へと移行されます。その際,対応する医療施設が変わっても,変化する患者の病状を的確に把握し,連携して,切れ目なく治療を継続することが必要です。すなわち,患者の病状や病床機能の変化に合わせて,薬剤師が担うべき薬学的管理をシームレスにつなぐ,そのための連携体制を地域で構築することが重要であると考えます。構造的に構築できても機能的に実践するには,各医療施設の病床機能に応じた適正数の薬剤師確保が必要であると強く感じています。日病薬が例年行っている現状調査によれば,「病棟薬剤業務実施加算」を算定している施設数は年々増えていますが,令和2年度にようやく20%を超えたというのが実情です。すべての施設で病床機能に見合った病棟薬剤業務を充実・展開できてこそ,地域医療連携としてのシームレスな薬物治療管理体制が実現できるのではないでしょうか。
日病薬は新体制の下,都道府県病院薬剤師会と密に連携しながら,病棟薬剤業務のさらなる推進と職能向上のための取り組みを今後も継続して進めていきます。さらに,薬剤師不足や地域偏在・機能別偏在の問題についても,全力で取り組んでいく覚悟です。このような方向性をもって,日病薬の活動を進めていきたいと考えております。是非とも,会員の皆様のご協力・ご支援を賜りますよう,どうぞ宜しくお願い申し上げます。
令和4年7月